音楽、映像、ダンス、写真で構成する新しい舞台。
戦後の復興を語る老人の身体から、現代的な問題を炙り出す意欲作。

08/12/10 念ずれば花開く

老人ホーム「さくら苑」での共同作曲。今日もいろいろありましたが、1999年に最初にさくら苑に訪れた時のハンドベルでの演奏、そして3回目にさくら苑に訪ねた時の演奏を、現在いるメンバーでやってみて、そこから、どうやって「わいわい音頭」のメロディーが生まれたか、のプロセスを追体験してみました。
そして、それから約10年たった今、その時と同じプロセスをしたら、また違ったリズムや違ったものが生まれるか、やってみました。
その結果、全く違った歌が生まれた。
念ずれば、花開く、花嫁さんになりたいよ
念ずれば、花開く、花より団子が食べたいよ
花婿募集中でーす
今、好きな人いるんですか?
の質問に、返答を濁した方もいました。老人ホームの中の恋は、いろいろありそうです。
と同時に、「おっかぁだけ、おっかぁが大事」という言葉もありました。

08/11/12 ビデオを撮ってテレビで見る

今日は、さくら苑での共同作曲の日。1999年からスタートして延々と続いているプロジェクトで、今日は、9年間で初めて、遠足に出かけて、ゲリラパフォーマンスをしようという日でした。お年寄りの一人、樋上さんが、ぜひやりたい、とおっしゃったので、桜井苑長にかけ合って実現。
というはずだったのに、天候が悪いので、延期に。
ということで、さくら苑での活動に。
ゲリラパフォーマンスの意図は、やはり老人ホーム意外にいる人々に向けて、自分たちの表現を届けたい、ということだと思います。表現者には観客が必要なのです。
遠足が中止になったので、テンションが下がりますが、今日は、1年ぶりに豊島忍さんが来ました。豊島さんは、白井剛くんや森下真樹さんが所属していた千葉大のダンス部の部長をしていた人で、ダンスを踊るのが大好きですが、彼女自身がダンスを踊るのが1年ぶりくらいに久しぶりだったそうなので、まずは準備運動をすることに。ストレッチは気持ちいいです。腕をあげるだけでも気持ちいい。せっかくなのでカスタネットを手に持ったカスタネット体操をしてみることに。
それから、京都から参加の林加奈さんが、ビデオカメラを持って来ていたので、お年寄りの演奏を映像に残して見てみようと思いました。でも、みんなで合奏とかしていても、映像だと面白さが分かりにくいし、一人ずつソロをやってもらうことに。ぼくのわがままで、「ぼくの希望を言ってもいいですか?ピアノ弾いていただいてもいいでしょうか?ピアノだったら、触れば音が出るんで、ぜひ、皆さん一人ひとりがピアノを弾くのをビデオに撮りたいんです」
とお願いしました。
まず、さくら苑のキムタクを自称する樋上さんのピアノ。豊島さん曰く「ジャズピアノ風で、明らかにこういう映像をとられたいというイメージを持って弾いている」とのことです。ぼくも共演させてもらったのですが、やはりお年寄りの場合は、体力的に微弱な音を出しやすいのが特色で、本当に鍵盤に触って、音が微かに鳴ったり、鳴らなかったりするのです。ピアノの鍵盤を弾いて、30%の確率で音が出る感じ。これは難しい。樋上さん曰く「ジャズピアニストじゃなくて、ギャグピアニスト。ベートーヴェンじゃなくて、弁当ヴェン」
それから、中武さんのピアノ。これが、順番に鍵盤を押していくのですが、不思議な指の使い方と、指の潜り方で、指の腹で弾いたり、手がひっくり返ったり。そして、音は本当に微かなのです。ぼくとのデュオをやった後、ぼくではなく音楽の専門じゃない人が共演した方がいいのでは、と思い、豊島さんと中武さんで共演。すると、途中から、豊島さんのピアノに触発されて、中武さんはピアノをやめて、歌を歌い始めました。それは、多分、賛美歌や唱歌なのだと思いますが、豊島さんのピアノは、もちろん、その歌とも全く違ったテイストで流れています。この二つが相互作用をして、どんどんエネルギーが高まっていく。気がつくと、吉野さつきさんが、涙を流していました。それだけの何かがある演奏でした。
この演奏に触発されて、やる気満々になったのが長谷部さん。メンバーの中で唯一ピアノの素養がある長谷部さんだけが、敢えてピアノを選ばず、大正琴でソロをやることにしました。彼女がそう思った理由も、何となく想像できなくもありません。大正琴の鍵盤を指で弾くだけでは、十分な音が出ないので、弦を同時に弾かなければいけません。通常の奏法では、右手で弦を弾き、左手で鍵盤をおさえます。でも、長谷部さんは、右手で鍵盤をおさえるだけなので、吉野さんがアシスタントとして、弦を弾きます。でも、アシスタントは、長谷部さんの弾く曲を知らないし、いつ鍵盤を押すか、そのタイミングは、かなり不確定なので、予想がつかず、まるでモグラ叩きのゲームをしているような演奏で、見ていて面白い。でも、本人たちは本当に真剣な表情で集中してやっている。これが、ますます面白いのです。
そして、これを大画面のテレビモニターで再生して見てみた。お年寄りは、視力が弱い人が多いのか、老人ホームのテレビは本当に大画面です。大画面で見ていて、皆さん、本当に笑ったり、喜んだり、恥ずかしがったり。ぼくらの世代とは違って、現在80代や90代の方々にとって、ビデオに自分の姿が映ること自体、かなり珍しい経験なのですね。
で、樋上さんが、これを「みうち」に見せたら、喜ぶだろう、って言ったのですが、ぼくは、この「みうち」が聞き取れず、「ゆうち」と聞こえた。もっと言うと「ゆうちゅう」と聞こえた。そして、その時のぼくには、「ゆうちゅう」=「YouTube」って聞こえたのです。で、耳を疑った。え?「YouTubeで見せたら、喜ぶだろう」?確かに、面白いかも、って思った。
だって、お年寄りたちは、老人ホームで表現をしても、観客が不在で、だから、今日は、苑長にお願いしてまで、「遠足」に行って、ゲリラパフォーマンスやってみたい、って言ってたわけです。でも、体力面を考えて、天候も悪いし、延期になったわけです。でも、映像を作れば、自分たちの表現を発信することができる。これは、いいかも、と思いました。
あと、老人ホームって、ずっとテレビ見ているお年寄り多いんですよね。ロビーでずっとテレビが流れていて、その前に車いすのお年寄りがいっぱい座っている光景。あのテレビのテレビ番組の代わりに、さくら苑のお年寄りたちの映像がヘビーローテーションで流されているモニターが一台あったら、面白いんじゃないかなぁ、って思ったのです。
映像を撮ってくれるアーティストを探して、やってみたいな、という気持ちが出てきました。企画書を書いて、来年度あたりに、助成金なども探して、プロジェクトとして始動させるべきかも、って思い始めました。
来年はいよいよさくら苑に通い始めて10周年です。やりたいことが、なんだか沸き上がって来ています。

08/09/17 遠足行きたいよー

老人ホームのさくら苑に前回つくった「ポリデント」の歌をさらに発展させようということにはならず。
なんとなく、1時間ほど過ごした後に、樋上さんが、「~~~らしく」ということは大切とおっしゃった。
ぼくは、「野村誠らしく、っていうのは、ゴロゴロすることでもあるんですが、さくら苑では、いつも椅子に座って音楽やってますね。一度、床にふとんを敷いて、ゴロゴロしながらわいわい音頭をやるとどうなるか、やってみましょうか」
と提案。環境が変わると、音楽も変わってくるはず。
すると、樋上さん、
「みんなで遠足とか行ったら、違った音楽になるんじゃないかなぁ。」
そこで、桜井苑長に来ていただき、お話を聞いてもらう。
介護保険が始まってから、分刻みで職員のシフトをつくることを義務づけられたりして、遠足に行く場合のスタッフの確保が一番鍵になると、桜井さん。
「介護保険が始まる前だったら、気軽にお出かけとかできたんですけどねー。でも、がんばって実現できるように検討してみます。」
ということで、その後、
「桜井苑長、伏してお願い申し上げます、遠足行きたいよー、遠足行きたいよー、遠足行きたいよー、遠足行きたいよー」
という歌ができました。桜井さんにも最後に聞いていただき、遠足は、山下公園あたりに行って、ゲリラライブで、町行く人とも交流しながら、わいわい音頭。
実現するといいなー。

08/08/13 ポリデントの歌

老人ホームのさくら苑に。
今日は、大正琴をいっぱい弾いた。大正琴は5弦あって、オクターブ違いの同音にチューニングするのですが、試しに、コードが鳴るようにチューニングしたら、いきなりウクレレ風な大正琴になったりして、別世界で楽しかった。
それから、歌を作ったら、「なしを食べても、入れ歯が落ちない、ポリデント」という歌詞の歌になりました。

08/05/03 行ってみたら女性ばかり

久しぶりに、特別養護老人ホームさくら苑に行く。家に引きこもって作曲中なので、実は、出かけるのが相当ためらわれたが、前から約束していた日だし、仕方なく出かける。今日は、演劇人の倉品淳子さんも来る。倉品さんは、福岡で60代以上の女性ばかりを集めた演劇をやったばかりで、久しぶりの東京。
で、行ってみたら、今日は参加したお年寄りは全員女性、見学に来た人も、吉野さつきさん、セラさん、林加奈さん、有尾さんと、みんな女性で、男性と言えば、有尾さんの2歳の双子と、ぼくだけだった。倉品さんは、またしても女の世界に。
で、三味線を弾いたり、あと両手にハンドベルを一つずつ持って、これをマレット代わりにしてボンゴをたたくと、これが一人2重奏になって、とても楽しい。マラカスを両手にもって、それをマレットにしてボンゴを叩くと、これまた楽しい。

08/02/18 さくら苑でまったり

横浜の老人ホームのさくら苑に行く日。 もう、ワークショップリーダーとかファッシリテーターという意識もないので、ぼくも一参加者です。
今日は、一切仕切らなかったし、進行もしませんでした。
三味線を弾いてるのも、なんとなく自分で練習してる感じ。
ピアノも最近鍵ハモを吹いていたので、ピアノを練習したかったし、少し自分が弾きたいから弾いていました。
まったりしました。
吉野さつきさん、鈴木結さん(コラボシアターフェスティバルなどでボランティアスタッフとして大活躍)、めくるめく紙芝居の林加奈さん、うたの住む家の赤羽美希さんが来ました。
参加しているお年よりも、今日は全員女性でした。
こんなに偏るのも珍しい。

08/01/30 キャンセルでした

早起きして、浜松から新横浜。
そして、タクシー乗って、さくら苑。
と思ったら、今日はキャンセルされてたらしく、トホホ。
さびしく帰ってきました。
ということで、お知らせです。

07/12/26 老人ホームに音楽がひびく

浜の特別養護老人ホーム「さくら苑」でのお年寄りとの共同作曲。1999年にスタートしているので、もうすぐ丸9年。 ま、とにかく、ぼくの音楽に対し方を大きく変えてしまった体験がさくら苑です。
で、今日も行きました。
今日は、

  1. 遅刻して行ったら、皆さん勢ぞろい。
  2. 2 ぼくが三味線を弾きながら、9年間継続作詞・作曲中の「わいわい音頭」
  3. そのうちに、みんなが色んな楽器を鳴らしだし、ぼくもピアノを弾いて、全員での即興
  4. 秋ごろにできた「ブタがブーブー」の歌をやってみた
  5. なぜか、ジャワの歌と踊りを、突然樋上さんが歌い始め、林加奈+豊島忍が腰に鈴をつけて踊ると、じいさんたち喜ぶ
  6. クリスマスのダンスをしてくれ、をきっかけに、ハンドベルのダンスを豊島忍さんが踊り、それをきっかけに、ハンドベルの大合奏+ピアノのクリスマス曲、これが心地いい
  7. ピアノを弾くハセさんのピアノコーナー。色んな曲を弾かれるが、どの曲も知っているメロディーが出てくるのに、いつの間にか知らない曲になるうろ覚えで、たどたどしく、しかも、数字譜で書いてあるメモ楽譜を見て弾いても、メモもどうも間違っていて、不思議な音楽といった感じ。


児童養護施設で子どもに音楽活動をしようと考えているNPOの人が見学に来た。せっかくやるんだったら、単発じゃなくって、週1回1年間くらいを、一つの施設でやりたい、と言う。親から離れて、児童養護施設は、そこに疑似家庭を作ろうとしているわけで、やるんだったら、一回来てもう来なくなるとかじゃなくって、そこまで、やりたい、って。

自分のスケジュールとか、色んなプロジェクトのこととかをまずは考えないと、関わるならそこまで関われたらなぁ、と思っちゃう自分がいて、びっくりする。このプロジェクトに関わるかどうかを別にしても、やっぱり、ぼく子どもと音楽作るの、やりたいみたいだ。しかも、単発じゃなくって、長期で子どもたちと関わって、音楽作っていきたいみたい。それ、やってみたいんだな、ぼく。やっぱり、子どもと音楽をすることは、今後も続けよう。

07/11/19 さくら苑でのんびりまったり

さくら苑で。いやぁ、のんびりまったりしました。
飛び石で出演+手話通訳で大活躍の米井山さんが、今回はミュージシャンの弟さんと一緒に登場したり、飛び石でジェニーチームの演劇百貨店のマミさんも遊びに来ました。米ちゃんは柏木くんの演出助手をしていたこともあったらしく、いろいろお話しました。
楽しかったです。

07/10/22 あまちゃでかっぽれ

横浜の老人ホーム「さくら苑」での共同作曲。
1999年に、アーツ・フォーラム・ジャパンの企画で行った「野村誠ワークショップ~お年寄りとの共同作曲」が終了したのですが、作曲が終わる見込みもなく、8年たっても通い続けている。これは、ギャラも一切発生しないし、何の義務もない。ただ興味のある人がなんとなく集まってきて、何かをする場です。でも、今日も、林加奈さん、大沢久子さん、赤羽美希さん、吉野さつきさん、そして、飛び石に参加していた俳優の原田さんと米内山さんも参加しました。これまでに、倉品淳子さん、柏木陽さん、如月小春さん、川口淳一さん、片岡祐介さん、山辺義大さん、をはじめとした数多くの人々が、ここを見学にやってきます。
で、今日は、さくら苑のキムタクを自称する樋上さんの語りから始まって、99歳の詩吟のお師匠さんの篠崎さんが久しぶりに登場。久しぶりに歌入り観音経も登場。先々月にピアノで共演した長谷部さんが、「亡き息子のための歌」というピアノ曲を作って、ドレミを123と数字で表した楽譜を持って登場。共演しました。そして、前回作った「ブタの小言」の歌も歌い、新登場の小松さんが、「かっぽれかっぽれあまちゃでかっぽれ」、「ぽーっぽぽっぽとないて遊べ」など、わいわい音頭にも新しい歌詞を追加しました。加奈ちゃん、原田さんらが、「歌入り観音経」の話に合わせて、飛び出す演劇になりました。
年はとるものだ、と樋上さん。年々、年を「とる(=取り除く)」から、どんどん若くなる、とも言ってくれました。樋上さんは、ぼくと大沢さんの本を大切そうに持ってきてくれて、こんな風にしてくれるだけでも、すごく嬉しい。樋上さんが「わいわい音頭」を作ったときの「年寄りが明るく暮らしていることを、伝えたい」という思いが、だんだん伝わっていきます。
それから、苑長の桜井さんは、12月8日に開催される「アーツmeetケア」のフォーラムに出演するそうで、そこで、この活動を知らせたいと意気込んでいました。今日のワークショップの様子も、上映されるかもしれません。皆さん、そちらにも是非お越しください。