音楽、映像、ダンス、写真で構成する新しい舞台。
戦後の復興を語る老人の身体から、現代的な問題を炙り出す意欲作。

10/02/15 映像作曲作業

老人ホーム・REMIX #1
というイベントを、3月14日に、BankART NYKで行います。
で、本日は映像編集作業、いや、厳密に言うと、映像作曲作業を行いました。
この作品は、

1 野村+老人による演奏(昨年8月〜今年の2月)
2 上田君が映像撮影(昨年8月〜今年の2月)
3 映像を編集し、野村が作曲(2月15日)
4 作曲された映像で音をそのままに、映像を差し替える(2月下旬)
5 その映像に合わせて、野村がピアノを演奏するコンサート(3月14日)

というプロセスになっていて、本日、映像を素材にREMIXした曲を、いくつも作りました。
できた曲は(仮タイトルで)、

1 たどたどピアノ組曲
    八木さん
    松崎さん
    八木さん夫婦
    ミックス
2 ドラムスコ
3 セッション
4 大正琴
5 ピアノと駄洒落

で、味わい深い音たちです。
さらに、

6 実際の八木さんの即興演奏
7 実際の大正琴の演奏
8 わいわい音頭

も、当日は登場します。
老人ホームでの映像を、ここまで手を加えたのは初めてですが、お年寄りのテンポ感や味わいが、より強調されて見えてきて、とても良い経験でした。
上田君、吉野さん、お疲れさま。

10/01/27 老人ホームREMIXのための撮影

3月14日に、横浜の馬車道にあるBankART NYKのライブラリーで、老人ホーム・REMIX #1というコンサートをします。老人ホーム「さくら苑」のお年寄りの演奏する映像と、野村のピアノ演奏によるコンサートで、今回は、撮影に行く最終回。映像撮影は、上田謙太郎くんです。

3人の男性による即興太鼓のトリオ

3人の男性に、見学に来られたダンサーや俳優の女性3人が加わったセクステット

全員での即興

などがありました。途中に入るお年寄りの気のきいた一言が、笑いや味わいを増します。それと、お年寄りたちの演奏する姿は、どうしてこんなに絵になるのでしょう?ある意味、体力的な衰えもあるだけに、無駄な力や無駄な動作が自然に省かれてしまうのかもしれません。
3月の公演に向けての映像の編集は、2月半ばに行うことに。長大な一作品を作るのではなく、複数の切り口から、いくつもの短編映像を作り、様々な可能性を立体的に見せたい。その映像とピアノで共演していくことで、全く違ったピアノ音楽を、立体的に示すこともできるでは、と考えています。非常に面白い作品が作れそうです。
ところで、お年寄りの中でも、野村誠との活動歴の長い樋上さんは、「無我の境地」と言いました。集団即興で、「無我の境地」になるといいのだ、と。全くだと思った。ぼくも演奏している最中、最初は、演奏が映像になった時に、ピアノの音があんまり入っていると、後で映像編集する時に使いにくい、とか考えて、その時間にいない瞬間もありました。しかし、そういう演奏は、作為的でやはり本物ではない。これではいけないな、と思い、今この場での演奏を心底楽しもうと思ったのです。
この作品づくりも、野村誠のポストワークショップなのですが、ポストを意識しすぎては、何も楽しくなくなってしまいます。
もう一度、ポストワークショップの問いを、掲げてみましょう。
プロセスを重視し、少人数で参加する人の主体的な発見や気づきにウエイトを置くワークショップ型の活動は、安心して表現できるアットホームな場を保証する(しかし)ーーーー→閉じた場(しかし)ーーーーーー→アットホーム(しかし)ーーーーー→
アットホームと閉鎖的なことは、表裏一体なのです。そして、ぼくは、このアットホームな場自体を肯定し、そのアットホームな場で起こっている創造的な出来事を、その魅力を失わずに、外とリンクさせていく方法について、模索しているわけです。そのことを、ポストワークショップというキーワードで考えているのが、BankART Schoolでの8回講義なのです。
このアットホームを肯定する、ということが、すごく大切な気がしています。

09/12/21 八木さん夫婦のピアノ連弾

3月14日にBankART NYKで開催する「老人ホーム・リミックス#1」に向けて、横浜の老人ホーム「さくら苑」で撮影。
ピアノを一人ずつに弾いてもらった。最初に、白鍵を一音ずつポツポツと上がっていったり下りてきたりして、味わい深く弾いてくれた斉藤さんは、ピアノを弾いたことがないと言っていたが、娘さん二人は音大に行ってピアノをやったとのことでした。大正琴を80年ぶりに弾いた八木さんは、ピアノもまずは左手から。でも両手での演奏が、なかなかいい。生まれて初めてピアノを弾いたらしい。
男性では、松崎さんが鍵盤を引っぱたくように弾くのが、パーカッシブでよかった。八木さん(夫)は、八木さん(妻)と連弾。夫婦連弾が素晴らしい。
最後は太鼓とピアノのセッションも。

09/11/25 お年寄りのドラミング

さくら苑。6人のお年寄りのドラミング。一人のお年寄りがトランスに入って、ちょっとびっくりしました。疲れたら手を変えて叩き続けるので、これ以上このまま続けたら体に負担があってもいけないと判断したところで、さすがに止めに入りましたが、こんなことは初体験でした。そのドラミングは凄かったです。

09/10/16 BankARTで打ち合わせ

横浜のBankARTに打ち合わせに行って来ました。近々、日程もお知らせできると思います。さくら苑の映像や野村誠の演奏でお届けするイベント。3月ごろを予定です。

09/10/07 樋上さんとのセッション

横浜の老人ホーム、さくら苑へ。映像作品を作ろうというプロジェクト。
八木さんの大正琴の演奏は、前回よりも随分、力強いものになっていた。
樋上さんの周りに180度太鼓を置いたドラムセットと、ピアノでセッション。樋上さんの即興はなかなか。
休憩後、コーヒーラウンジに移動して、撮影。見学者も多いので客席を作る。車椅子6人が横一列に並び、中央に樋上さんが座る。7人がハンドベルを持って、撮影開始。皆さん、撮影となると、頑張ってくれる。
せっかくなので、全員の前に太鼓を置いて叩いてもらう。これまた、素晴らしい。最後は、ぼくも鍵ハモで加わって演奏した。
これは、お客さんをよんでライブができる、と確信した。即興ライブ。

09/08/03 ビデオの中の創造の種

横浜の老人ホーム、さくら苑。「お年寄りとの共同作曲」に取り組んだ1999年から、通い続けて10年が経過している。本日は、映像の上田謙太郎さんも初めて来てくれた。あと、「地域創造」のアウトリーチ事業調査か何かをしているらしいニッセイ基礎研の方々も取材にやってきて、ぼくらの活動が終わった後に、桜井苑長にもインタビューをしていました。
6歳の時に大正琴を習ったことがあり、80何年ぶりに大正琴を弾いた八木さんが、何かを思い出そうとして演奏する大正琴の音が、とても叙情的に響き、みながそれに聴き入る。89歳の八木さんのご主人が、何かを言い、八木(夫)さんがボタンを押さえ、八木(妻)がピックで弦を弾くという夫婦の2人3脚的な演奏が、独特な間合いで進む。ぼくは、そこに大正琴で加わる。かなり美しい。
前回もパーカッションを頑張った樋上さんにドラムをやってもらおうと太鼓をいっぱい並べる。ぼくはピアノでアンサンブルをしようかと思ったが、樋上さんから三味線をやって欲しいとリクエストがあり、三味線に。すると、「わいわい音頭」を歌いながら、太鼓を叩き始める樋上さん。なるほど、それで三味線か。気合いのこもった太鼓に、こちらも勢い良く三味線を弾きました。
その後も色々ありまして、最後に、本日の映像を見る。この映像を見るという活動は、なかなか面白い。Keyboard Choreography Collectionでも、「べルハモまつり」を作曲したASIASのワークショップでも、最近は、映像を何度も見返すということを、何度もしています。野球選手なんかもビデオとかでフォームのチェックしたり、相手投手の癖を研究したりするらしいですが、音楽家にとってもビデオを見るというのは、可能性がいろいろある。即興的にその場で起こったことを、ビデオで何度も見て、そこから何かが生まれてくる。音楽療法家は、ビデオを見て、セラピーの検証をするし、イタリアのレッジョ・エミリアの幼児教育とかでは、ビデオを見て、子どもごとの関心を探り、その子に合った教育プログラムを組み立てたりするらしい。ぼくは、音楽家として、ビデオの中に眠っている創造の種から、何かが生まれてくることに興味がある。
次回は、最初の一時間くらいは、適当に色々やってみる。その後は、その日の面白かったところをピックアップして、撮影。最後に映像を見る、という3部構成で進めようということになった。

09/06/03 さくら苑10周年の新展開

老人ホームのさくら苑へ。1999年から通い始めて、10年たったわけです。で、新展開として、これから映像を作っていこうと思っていて、今日は、そのテストとしての日でもあった。お年寄りは、カメラの存在があることで、いろいろはりきったりすることもあるようだ。で、男性が太鼓をはりきって叩く、ということもあって、それを映像に収めて、みんなで見てみたりした。で、これから、いろいろやれそうだ、という感触を得る。
で
終わった後、さくら苑の苑長さんと話していたら、職員がいろいろ表現できる場があったらなー、もっと表現したいはずだ
と、おっしゃる、
そして、初めて見学に来た人に感想を聞いたら、職員の人の内面の動きのドラマに感動した
と
なるほど。。。。
さくら苑の場合、既に、お年寄りが自由に表現できる場が、かなり保証されてきていて、そのことは、もはやコメントするまでもない当たり前状態に達している。で、そうなってみると、作曲家が老人ホームに来ているこの活動は、職員の人の表現が発揮できる場には、まぁ、なっていないわけです。じゃあ、どうしよう、というのが、今日の宿題ですね。10周年の新展開のヒントが、いろいろ出てきています。

09/05/03 スティックで叩く大正琴

特別養護老人ホーム「さくら苑」での共同作曲。開始より10年経過。松田弘子さん(青年団という劇団の俳優)、倉品淳子さん(山の手事情社という劇団の俳優)、吉野さつきさん(青山学院大学の客員研究員でワークショップコーディネーター)、倉田晃光さん(晶文社の編集者)、渡辺さん(これから英国でアーツマネジメントを学ぼうと準備中)、川口知美さん(衣装デザイナー)というメンバーが6名外部からやってきて、ホームに居住のお年寄りは、樋上さん、八木さん、長谷部さん、入江さん、もう一人男性の方と5名。という濃いメンバー構成になりました。
今日は、大正琴をピックで弾くのではなく、スティックで叩いて演奏するのが、自分的には発見。
あと、ハンドベルだけの演奏が、かなり良い響きになった。カスタネットをお寿司を握るような仕草で演奏するのもあった。こういう演劇的な要素は、やはり俳優の人が来ていると生まれやすい。
八木さんが「何十年ぶりに大正琴を弾いた」とおっしゃったが、小学校2年生以来らしく、今90歳とのことで、多分、大正の終わりか昭和の初めごろに弾いて以来とのこと。大正琴は大正時代に発明されたわけだから、当時2年生で最先端の楽器をやっていたわけで、今なら、小学校2年生でMAX/MSPをやっていた、みたいな感じか。。。。
その後、晶文社のホームページの連載を下敷きに、新刊本をつくる打ち合わせなどをしましたが、どんな本が面白いと思うかについては、ブログ読者の皆さんからも、ご意見ございましたら是非、、、。

09/03/18 老人ホームの新世代

老人ホーム「さくら苑」へ行く。1999年に開始した共同作曲は、まだ続いている。10年前の開始当時のメンバーは、樋上さん以外は、今は亡き人となっているので、現在では、第2世代、第3世代と、世代交代が起こっている。樋上さんは10年間この活動に関わり続けているので、どんどん芸風に深みが増して、名人の領域にある。
開始当時は、樋上さん以外にも、沼田さんとか、山田さんとか、小沢さん、内藤さん、など、濃いキャラの人がいっぱいいて、その中の一人だった樋上さんは、今では、この共同作曲のリーダーと言える。しかし、今日は、ここ1年くらいで毎回参加しているメンバーが、レギュラーメンバーとして、個性を発揮してきて、樋上さんに負けない存在感やアピールが出てくることを痛感する一日だった。
数回前から長谷部さんが大正琴を演奏するようになっている。ボタンを押すと、アシスタントが弦を弾くという2人3脚的な演奏。今日は合計50曲くらい演奏したような感じで、しかも「わいわい音頭」なども、大正琴で演奏していた。また、中武さんも、相変わらずよく笑うのだけど、以前よりも参加の密度が濃い感じだったり、、、、。
いずれも80代、90代の方々なので新しい世代と呼ぶのはおこがましいけれど、こうやって続けていくと、途絶えてしまうのかと思われた伝統を受け継ぐ新しい世代が出てくるみたいだ。
この共同作曲は、ぼくが30歳の時にスタートした。40歳になったけど、まだ続いている。50歳や60歳、さらにその先まで続くのか、分からないけど、ライフワークになっている。