音楽、映像、ダンス、写真で構成する新しい舞台。
戦後の復興を語る老人の身体から、現代的な問題を炙り出す意欲作。

12/02/08|写真がダンスになり、ダンスがダンゴになり、ダンゴがオペラになっていく

2月18日、19日の横浜での「復興ダンゴ」公演に向けて、準備中です。いよいよ、本日、予告編映像が完成しました。この予告編映像、宣伝のことを考えると、公演10日前に完成というのは、遅いです。でも、大切な言葉が色々詰まっていて、要素も多く、何を伝えていくか、本当に編集作業でも悩み苦しんだ上で、やっと予告編ができたのだと思うのです。そう思った時、形式だけ整えた予告編を期日に間に合わせて作るのではない、それ以上のメッセージがしっかり詰まった予告編ができたなぁ、と嬉しく思っております。まずは、皆様、この予告編を是非、ご覧下さい。
さて、本番に向けて、日々、作業を続けております。その中で非常に重要なのが、語り合うという作業です。公演が近づいてくると、作品の細部を確認したり、練習や構成などの話がどうしても増えます。しかし、東日本大震災を経て、原発事故を経て、これから、ぼくたちはどうやって生きていこうと思っているのか?そのことをどこまで作品にできているのか?そして、ぼくらはどうして生きていて、どうしてアートをしているのだろう?何に疑問を抱き、何に可能性を見出し、何に未来を見るのだろう?そういう話を続けております。直接会える人とは直接会って、会えない人とは電話で、話し続けております。

そして、写真の杉本文さんとも、何度も話し合いました。現時点で選ばれている写真が既に素晴らしく、それにピアノを演奏するだけで、十分なコラボレーションだと思うクオリティがあるのです。それなのに、ぼくたちは、危険な方向に、足を踏み出すべく、もう一度、全部の写真を見直す、という作業を、本番の10日前にやることにしました。そして、全部の写真をダンサーの砂連尾理さんに委ねて、写真をダンスとして選んでもらうことにしたのです。本番直前に、作品をかためて練習していく時期に、振り出しに戻すような提案を、杉本さんも砂連尾さんも受け入れてくれて、そして、今日、写真の中にある老人達の身体から、砂連尾さんがメッセージを読み解く作業が行われました。

この作業をやって、成功するという確証は全然ないのですが、直感でこれをやらねば、と思ったので、これで全然うまくいかなかったら、杉本さんにも砂連尾さんにも顔向けできない、本当にどうしようというリスクの大きい決断だったのですが、そこから砂連尾さん曰く(写真から)「渾身の振付」が生まれたのです。

その時、ぼくに2種類の「三色団子」が見えました。

異なった味が隣接しながら、お互いの味を引き出し、打ち消し合わないように共存する。このダンゴをつなげている串こそが、コーディネーターの吉野さつきさんの役割で、串がなければ、バラバラになってしまう。だから、本日の京都でのリハーサルに、砂連尾さんが来るとすぐに、東京の杉本さんに電話をし、砂連尾さんが写真を選定した段階でも電話をし、さらに、写真の投影する順番を決める時点でも電話をしました。砂連尾さんが選んだ写真は、写真家としては決して選ばない写真なのだそうです。でも、それらの写真が一連の振付として提示された時に、写真家も振付家も、共に達成感を感じ、何かを共有し、コラボレートした感覚に辿り着いていました。写真がダンスになり、ダンスがダンゴになり、ダンゴがオペラになっていったのです。

いよいよ、公演まで、10日間。18日の公演は前売り完売で、当日券も数枚程度しか発券されない可能性が高いです。19日の公演も、前売り券が完売する可能性が高いです。もし、来られる予定をされている場合は、お早めにお求め下さい。また、万一、予約を入れたが行けなくなった場合は、その分でご覧いただけるお客様が増えますので、必ずご一報下さいね。よろしくお願いします。

2012/02/04|無力な自分を見つめるところから始める

2月18日(土)の野村誠:ドキュメンタリー・オペラ「復興ダンゴ」公演の前売り券は完売いたしました。18日の公演の当日券は10枚程度、当日に販売になる予定です。詳細は追って、このブログでもお伝えします。なお、2月19日(日)のチケットは、14時の回、18時の回ともに、前売り券がありますので、予約フォームから、ご予約受けつけております。

本日も、「復興ダンゴ」に向けての砂連尾理さん(ダンサー)とのリハーサルをしました。今日は、大切なことについて、徹底して語りまして、そのことで作品も大きく進展しました。「復興ダンゴ」という舞台を、なぜ、ぼくらはやるのか。昨年の大震災や、原発事故が起こらなかったら、ぼくらは、この作品を作らなかったでしょう。今の日本の(世界の)現状を受け入れた上で、世界に対してどう働きかけていくかを、一緒に考え、立ち止まり、一歩を踏み出すために、今、ぼくたちは、この作品を作っています。だから、リハーサルは、身体で考える作業と同時に、言葉で確認し合う作業でもあります。そして、自分の直感を信じ、自分の信念を疑い、絶望の中に希望を探し、無力感を原動力にする術を探す。

老人ホームのお年寄りの言葉の中に、本当に希望があると強く信じて、作品を作り続ける精神力。お年寄りの身体の動きの奥底に潜むメッセージを愚直に解読していく態度、お年寄りの言葉のイントネーションから、世界を反転させる希望のメロディーを探そうと聴き続けること。自分のエゴを捨てて、映像の中にあるメッセージに、ひたすら耳を傾けることで、作品がどんどん形を表してきています。

明日は、京都市長選挙。投票に行くのも、「復興ダンゴ」の創作のプロセスです。

現実逃避するのか

現実逃避しないか

もう一言だけ、自分のメモとして書いておきますね。自分の才能のなさを感じ、自分の無力を感じ、自分の力不足を感じ、自分の小ささを感じた上で、「復興ダンゴ」の創作活動をしています。自分の存在も現在の能力も、野村誠以上でも以下でもありません。それが現実です。そして、そうした現実から目を背けて、自分を認めてくれるコミュニティの中でだけ活動すれば、自分は才能があり、有能で、影響力が大きい、と夢を見ることができるでしょう。でも、それは現実逃避です。そうではなく、自分の無力を認めて、その上で自分ができることの可能性に向き合うこと。そこから、始めるしかないのです。食品の放射能汚染でも、内部被曝でも、農薬でも、添加物でも、向き合うのがイヤだから目を背けたり、考えないようにして、夢の世界に生きるわけにはいかないのです。現実に目を向けるのは、時に痛いかもしれない。まして、今の我々の現実は、本当に目を背けたいことがいっぱいです。自分の無力さや無能さを認めるのは、楽しいことではないかもしれない。でも、そこを見るところから始めないと、何も始まらないと思うのです。夢を見ているだけで逃げ続けるわけにはいかない。だから、自分の才能のなさも、作曲の下手さも、ピアノの技量のなさも、構成力のなさも、全部ちゃんと受け入れた上で、そして、自分の能力を理論武装の言い訳の衣などで防御したりせずに、勇気を持って等身大の自分の音で発信しようと思うのです。逃げません。これが、今のぼくの音楽です。

12/01/31|謎を作って謎を解読する~砂連尾さんの振付

昨日は、大阪で「子ども熱帯音楽祭」の打ち合わせをしておりました。本日は、砂連尾理さん(ダンサー)とドキュメンタリー・オペラ「復興ダンゴ」のリハーサル。これが、またまた新展開でした。ダンスのシーンが、それ以前のお年寄りの語るシーンと、ちゃんとリンクしていくかどうかは、気になっていたのですが、今日のリハーサルで、心配は吹っ飛びました。つながりそうにないものが、どんどんつながっていきます。

これまでのダンスシーンの制作手順は。
1)戦後の復興について、野村がさくら苑でインタビューしました。
2)それを上田謙太郎さんが撮影して、
3)その映像の中から、砂連尾さんが気に入った動きを抽出しました。
だったわけですが、本日、砂連尾さんが、
4)その映像の動きを見て、動きの語るメッセージを読み解いてきた
のです。お年寄りが、戦後の復興のことを語っていた身体の動きを再構成して作った映像の振付。それが、言葉になるとは、思ってもいませんでした。ところが、砂連尾さんは、自分で作ったナゾナゾを、自分で解き始めて、答えを捏ち上げてきたのです。そこには、東日本大震災に関する言葉が見え隠れしました。その言葉を砂連尾さんに語ってもらいながら映像を見ると、お年寄りの身体は、確かにそのことを語っているように、見えてくるのです。不思議なものです。いよいよ、そこに音楽をつける出番です。
5)砂連尾さんが、その言葉と共に語る動きに合わせて、音楽をつけていきました
そして、東日本大震災について特定する言葉(放射能、福島第一原発、など)を省略していくことで、砂連尾さんの言葉と動きが、今回の震災だけでなく、チェルノブイリでも、広島原爆でも、東京大空襲にでも、読み取れるものになっていきました。
今日で、ダンスのシーンのイメージが、かなり進展しました。今日、砂連尾さんと合わせた曲を録音し、砂連尾さんは、次回の練習まで、この曲に合わせて、振付けを深めてきてくれることに。

なお、「復興ダンゴ」2月18日の公演は、前売り券が残り10枚を切りました!前売り予約は、お早めに。

12/01/28|復興ダンゴ

老人ホーム・REMIX #2「ドキュメンタリー・オペラ『復興ダンゴ』」を、完成形ではありませんが、現時点で上演できる範囲内で上演して、特別養護老人ホーム「さくら苑」の皆さんに鑑賞していただきました。また、照明の伊藤さんとも打ち合わせしました。本日の試演も一部撮影して、これも含めた予告編映像が、近々上田謙太郎さんにより編集され、YouTubeで公開されることになる予定です。
さくら苑での共同作曲を開始した1999年から、ずっと参加してくれている樋上さんが、まだまだ余裕がある気がする、と言って下さいました。もっとギリギリのところでやってもいいと思う、ということのようです。手堅い範囲でまとめるのではなく、ギリギリのところで全神経を張り巡らせていくこと。肝に銘じました。
タイトルが「復興ダンゴ」という言葉になっていて、このタイトルをもっと深めていきたい、と「ダンゴ」という言葉の意味について、一日考えておりました。

ダンゴ=「段5」

かもしれない。そう思い始めると、映像とピアノによる歌曲が5曲ある。だったら、段1、段2、段3、段4、段5なのか。5 Steps。ダジャレで考えるとどうかな、と考えたり。

談5=Tango

談4=男子=House Boy

談3=旦さん=「旦那さんは戦争行かなかった?」

談2=?

談1=?
ダンニ、ダンイチ、って何だろう? そんな風に、ダジャレの謎を考えているうちに、次の仕事のミーティングに突入しました。

12/01/26|お年寄りの言葉とヒップホップ

話している言葉の映像から作曲するきっかけは、一昨年の福岡市博物館でした。吉野さつきさんのアーツマネジメントのワークショップを題材に、映像+ピアノの作品を作りました。
で、同様のやり方で、お年寄りが戦後の復興を語る映像を題材に、ドキュメンタリー・オペラ「復興ダンゴ」を作っております。本日、映像のお年寄りの言葉に合わせて、ピアノの部分を作曲していたのですが、お年寄りの言葉のテンポやリズム、そしてニュアンスは、20代〜50代くらいの人々の日本語のリズムやテンポとは、全然違うんだ、ということを、思い知りました。
言葉をループさせて、そこに音楽を合わせていく手法は、ヒップホップ・ミュージックや、スティーブ・ライヒのミニマル音楽に近いアプローチなのですが、お年寄りの言葉は、英語のラップとは程遠く、ミニマル音楽の均質なビート感とも程遠い、非常に人間臭く独特なもので、なかなか、奥が深いです。現在、試行錯誤中です。この独特な間合いやテンポを尊重して、音楽を作っていくと、ピアノと映像による浄瑠璃になっていくはずです。勉強になります。

お年寄りの言葉のリズム感とは全然違う参考映像は、こちら



インストでのお年寄りのテンポ感は、こちら(2年前に発表した「老人ホーム・REMIX#1」)

12/01/24|砂連尾さんの独特なダンスと交わる

「ポータブル・コンチェルト」のコンサートが終わりまして、いよいよ2月18日、19日の老人ホーム・REMIX#2として発表するドキュメンタリー・オペラ「復興ダンゴ」に向けてのリハーサルが開始です。ダンサーの砂連尾理さんと、濃密な稽古をしました。今作っているのは、お年寄りの独特な動きの映像+砂連尾さんというシーンです。この特異なデュオに、ピアノで音楽をつけるわけですが、今日やっていて思ったのは、

砂連尾さんは映像を見ながら踊る

野村は砂連尾さんを見ながら演奏する

という形で作品を作っていくのが良さそうです。というのも、砂連尾さんの動きでは、映像の中のお年寄り動きが強調されているので、ダンスの輪郭が見えてきやすいのです。それにしても、砂連尾さんの振付は、非常にマニアックで独特です。

2月18日、19日の公演が楽しみです。現在、徐々に予約が増えておりますが、会場が小さいため、各公演とも予約が40名に達したところで、前売りをストップする予定です。特に18日の公演のチケット予約が最初に埋まりそうな気配です。来られる予定の方、ご予約はお早めに、とのことです。

12/01/07|写真から作曲する〜ドキュメンタリー・オペラ「復興ダンゴ」

1日から3日まで3日間は正月気分だったのですが、4日、5日と砂連尾理(ダンス)と上田謙太郎(映像)との濃密な2日間が入ってしまい、すっかり創作モードになってしまいました。2月18日、19日の公演に向けて、一気に作品の全貌が形になってきております。

昨年3月の震災を経て、6月にインドネシアで企画書を書きました。その時は、まだ具体的な作品のイメージなどありませんでした。ただ、こんなことがやりたい、という漠然とした気持ちだけがありました。

老人ホーム・REMIX #2

ドキュメンタリー・オペラ「復興」(仮称)

企 画 書

2011年6月25日

さくら苑プロジェクト実行委員会

 私(野村誠)は、コラボレーションと現代性を主軸に据えて、活動を展開してきた作曲家です。これまでに、音楽家のみならず、子ども、お年寄り、ダンサー、俳優、動物、などと、様々なコラボレーションを行い、数々の作品を発表してきました。今回、本助成を得て発表する作品は、映像とピアノから構成される新しいオペラ「老人ホーム・REMIX #2」です。

 作品のテーマは、復興です。第2次世界大戦後の日本の復興を体験したお年寄りの体験に基づきながら、2011年3月11日に東日本で起こった大震災からの復興と日本の未来について語り合い、そこから浮き彫りになる言葉を映像で紡ぎ、言葉と音楽と映像から構成される新しい形式のオペラとして、提示します。

ワークショップの会場になるのは、「特別養護老人ホーム さくら苑」〈以下、「さくら苑」〉です。私は1999年以来、12年間に渡り、さくら苑のお年寄り達と共同作曲ワークショップを続けて参りました。その成果は、『老人ホームに音楽がひびく〜作曲家になったお年寄り』(晶文社、大沢久子との共著、添付資料を参照)や、新聞、雑誌、テレビなど様々なメディアで話題となりましたし、2009年度には、本助成を受けて「老人ホーム・REMIX #1」を発表し、これまで報道されがちであった、福祉・医療的な側面ではなく、お年寄りとの共同作曲の芸術性の側面を、大きく提示することができました。

しかし、さくら苑のワークショップの中では、私が主眼を置いてきた音楽の創造的体験以外に、数限りないお年寄りの豊かな体験談に接することができます。また、かつてあった美しき日本語にも接することができます。明治、大正、そして、昭和の戦争を体験されたお年寄りの言葉をドキュメントし、芸術作品として残したい、という気持ちが沸き起こりました。特に、東日本大震災を経験している今、お年寄りの言葉から生きる勇気や希望、さらには未来への可能性を見つけられるオペラを創作し、横浜から世界に発信したいと私は考えます。日本の未来、世界の未来のために、今、芸術家として何ができるか、私なりに考えた末に導き出した結論がこのプロジェクトです。芸術の力と芸術の可能性を信じているからこそ、今、私はこの作品を発表しなければいけない、と強く感じています。
そして、その時、写真家の杉本文さんや、振付家の砂連尾理さんが、どんな形で関わるのか、全く未定でしたが、何か関わって一緒に作品を作りたい、と名前を企画書に参加アーティストとして列記しました。

さて、本日は、杉本さんから送られた8点の写真から、ピアノ曲の作曲に取り組んでおりました。そして、この8点の写真を順に曲にしようと、ピアノに向かっているうちに、この8点の写真は、一つの物語になっていることに、改めて気づき、公演のイメージがさらに明確に見えてきました。そして、写真は投影し、写真の切り替えは、まるで合奏するように、ピアノと息を合わせて展開していくのです。これは、アンサンブルなのだ、と瞬時にイメージが沸きました。公演の冒頭から最後までの全部のシーンが、一気に全て見えました。ああ、あの時に企画書に書いていたことは、こういうことだったのか、と思いました。公演詳細は、こちら。

そして、今日は、8点の写真のための音楽をスケッチしておりました。意味のある言葉がだんだん溶けていき、体験が体感になり、理念が感情になっていきます。「復興ダンゴ」がドンドン転がり始めております。

12/01/06|林光さん

林光さんが永眠されたとのことです。80歳とのことです。

ぼく自身は、8歳で作曲を始めた直後に、光さんのこの楽譜に出会い、とても好んで弾いておりました。そして、それから25年ほど経って、御喜美江さんのコンサートで、ぼくの作品と光さんの作品が演奏された時に、「実は、ぼくが最初にやったピアノの本は、光さんの本だった」と告白したのでした。その日の打ち上げで、「ぼく、鍵盤ハーモニカやるんですよ。」と、知人の結婚式だかお葬式だか何かで鍵ハモを吹いたお話をされ、「是非、今度誘って下さい。」

ぼくは、この著名な作曲家を、軽い気持ちで自分達のライブにゲストでお招きして良いものか、と迷いましたが、お声をおかけすると、ひょいひょいとやって来て下さりました。ぼくの「おやすみなさいコアラリス」をやさしい音色で吹いて下さり、自作のソングを歌い、ぼくと一緒に即興の語りやトークをして、片岡祐介の曲で、「御用!御用!」と言ったり、変な体操みたいなパフォーマンスを楽しそうにお付き合い下さりました。そして、御機嫌ようと、ひょいひょいと帰って行かれたのが、つい昨日のことのように思い出されます。

広島の被曝の情景を合唱曲「原爆小景」に作曲された光さんは、福島の原発事故をどのような気持ちで感じておられただろう?お話したいと思っていた矢先の出来事でした。

現在、取り組んでいる2月18、19日の老人ホーム・REMIX #2「ドキュメンタリー・オペラ『復興ダンゴ』」は、日本語のオペラを作り続けた光さんの志を継ぐつもりです。

安らかにお眠り下さい。

12/01/05|「復興ダンゴ」~達人と古代民謡とピナ・バウシュと

本日は、一日中、フル稼働で、映像の編集作業をしておりました。
映像のお年寄りの語りによる5つの歌曲(「こわかった」、「若かったのよ」、「Please remember me.」「雑居部隊」、「理髪の方です」)ができました。最後の「理髪の方です」は、なかなかうまく展開する曲にできて、そこから作品全体の展望が開けました。
また、お年寄りの鍵盤ハーモニカ演奏を編集した3つの小品もできました。樋上さんの鍵ハモ演奏は、絶妙なフレーズをいくつも抽出したので、あの映像は、奇跡的な達人技になっています。八木さんの鍵ハモ演奏は、あまりにも独特な節回し(上田くんは古代民謡と名づけたくらい)。そして、砂連尾さんが抽出した八木さんのダンスは、時にピナ・バウシュのようであり、樋上さんの手は、予測不可能な軌道を辿ります。編集したパソコンの映像を見ながら砂連尾さんが動くと、不思議なデュオの共振が始まります。
いやぁーー、すごいことになってきております。「復興ダンゴ」世界初演は、2月18、19日、横浜STスポットです。お見逃しなく。

12/01/04|復興ダンゴの編集開始

2月18日、19日のSTスポット(横浜)での公演ドキュメンタリー・オペラ「老人ホームREMIX#2『復興ダンゴ』」に向けて、砂連尾理さん(振付)と上田謙太郎さん(映像)と映像編集作業を行いました。
本日は、11月10日に撮影した映像素材(約2時間)を約6時間かけて見ました。これは、特別養護老人ホームさくら苑のお年寄り達と、第2次世界大戦後の復興について語り合ったビデオです。ずーっとお年寄りが話している映像ですが、ぼくは話の抑揚に音楽を感じる場面を選んで切り取り、砂連尾さんは、お年寄りの身振りがダンスだと感じた場面を切り取ります。そして、65の断片が切り取られました。
振付家の眼を通すと、お年寄りの些細な動きの中に、こんなにダンスがあったのか、と再発見させられました。それを切り取り、反復することで、微かなダンスがはっきりと見えてきます。BankARTの図書室で開催した「老人ホームREMIX #1」は、映像とピアノによるライブ、コンサートといった感じでしたが、STスポットという小劇場で砂連尾さんが関わってくれることになった「老人ホームREMIX #2」は、舞台作品になるのだなぁ、と改めて思いました。これは、確かにドキュメンタリー・オペラになります。
明日は、さらに、言葉以外の映像素材(楽器を演奏するお年寄りの映像)を中心に断片を抽出し、そして、これらの映像を組み合わせて、作曲作業を行います。いやぁー、楽しみです。